日本ソーシャルワーク教育学校連盟が「こども家庭SW」で議論

2023年1215 福祉新聞編集部
シンポで発言する山野教授(左から2人目)

日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連・中村和彦会長)は2、3日、大阪公立大(堺市)で第52回全国社会福祉教育セミナーを開いた。こども家庭庁が来年度から養成を開始する「こども家庭ソーシャルワーカー」をテーマに議論。新資格の養成に向け協力していくことで一致した。

 

同庁は2024年度から、児童相談所や児童養護施設などで一定期間働いた人が研修を受けて試験に合格すれば取得できる新資格を創設。現在、試験や登録などを担う認定機関の選定が進んでいる。

 

ソ教連は6月、日本社会福祉士会や日本精神保健福祉士協会、日本医療ソーシャルワーカー協会の4団体で、一般財団法人日本ソーシャルワークセンターを設立。認定機関の受託を目指し、準備を進めている。

 

シンポジウムには中村和彦・ソ教連会長をはじめ、和気純子・東京都立大教授、山野則子・大阪公立大教授、澁谷昌史・関東学院大教授が登壇した。

 

和気教授は、児相や児童福祉施設などではマンパワー不足であることから実習先の確保が課題になると指摘。「ソーシャルワーカーの有効性をしっかり示すことが私たちに課せられている」と訴えた。

 

これまでスクールソーシャルワーカー養成に関わってきた山野教授は新資格について「こども家庭福祉の共通基盤であり、こどもを大事にする社会に一歩近づく」と評価。社会資源の開発やソーシャルアクションにも期待を寄せた。一方で、人材不足が広がる中で、裾野を広げる必要があると訴えた。

 

澁谷教授は、ソ教連が22年に全国の児相や市町村を対象に行った調査で、新資格に期待するのは3割だったと紹介。行政には人材を育成する職員不足の実態があると説明した。「養成校が力を入れなければ、ミスマッチが起きる」と懸念を示し、養成校に対して新資格実現に向けた協力を求めた。

 

「新資格を取得する際の費用をどう考えているのか」との会場からの質問に対し中村会長は、認定機関の決定後の話だとした上で「基本的には取りやすい金額がいいと思う。現段階では想像できない」と答えた。

 

このほか「ブロック単位で養成校が研修を行うのはどうか」「手を上げても受講者がいないと赤字になる」などの意見が出た。