保育教諭の特例延長を検討 地域限定制度の全国展開も〈保育士資格専門委〉

2023年1108 福祉新聞編集部

こども家庭庁は10月19日、「保育士資格等に関する専門委員会」(委員長=鈴木みゆき・國學院大教授)の初会合を開いた。保育現場の人手不足を受け、認定こども園で園児の教育、保育に当たる職員「保育教諭」の特例措置延長や地域限定保育士制度の全国展開を検討し、本年度中にとりまとめる。

 

「保育教諭」という資格はなく、保育士資格、幼稚園教諭免許状の両方を持つことが必要とされている。保育所や幼稚園から認定こども園への円滑な移行などを進めるため、国は2015年度から資格、免許のいずれか一方を持っていれば保育教諭となることができる特例措置を設けており、24年度末が期限になっていた。

 

幼保連携型認定こども園で働く保育教諭は22年度でおよそ15万人。特例により、免許、資格どちらか片方だけで働く人は全体のおよそ8%(約1万2000人)いる。同庁はこの日、特例を5年延長する案を示し、委員から反対の意見はなかった。特例の期限をめぐっては、23年地方分権改革に関する提案募集で複数の自治体が延長を求めていた。

 

また、保育士不足対策の一環として、国家戦略特区に限る「地域限定保育士制度」の全国展開も検討する。政府の規制改革実施計画を受けた対応。改正国家戦略特別区域法に基づく同制度は15年度に創設され、現在、大阪、神奈川、沖縄の3府県が実施している。

 

試験に合格して登録後3年間はその自治体限定で保育士として働くことができ、その後は一般の保育士と同様に全国で働ける。実技は講習会を受講すれば修了となり、試験は免除される仕組みになっている。

 

同庁は現行制度には登録後3年間に保育士として勤務する要件がないことを踏まえ、一定の勤務要件を課すことなどを論点として提示した。