地域に応じた事業展開 妊産婦、子育て世帯支える〈全乳協大会〉
2025年11月06日 福祉新聞編集部
全国乳児福祉協議会主催の「全国乳児院協議会」が10月23、24両日、富山市内で開かれた。こども家庭庁による行政説明では、全乳協の「乳幼児総合支援センター」構想と方向性を一にする新規事業の概要が紹介された。こうした国の動向も踏まえ、横川哲会長は「地域の事情にアンテナを張り、具体的な事業の展開に結び付けていってほしい」と呼び掛けた。
同庁が概算要求する新規事業の名称は「乳児院地域支援強化事業」。要求額は236億円の内数。地域の支援拠点として、乳児院が関係機関との連携やマネジメントを実施するために必要な経費を補助する。具体的には、拠点機能を統括するマネジメントリーダー、母子保健施策、妊産婦等生活援助事業の活用のために、こども家庭センターや保育所と連携する職員、要保護児童対策地域協議会に参画するための職員の配置などが補助対象となる。
国は社会的養護について家庭養育優先原則を打ち出し、里親の割合を増やす目標を掲げる中、乳児院にはこれまで培ってきた専門性や知見を生かして地域の妊産婦、子育て世帯を支える機能も持つなど多機能化、高機能化を図りたい考えだ。
ショートステイ急増
横川会長は全乳協実態調査の結果、子育て短期支援事業(ショートステイ、トワイライトステイ)の受け入れ児童数(2024年度)が9732ケースあり、前年度より2970ケース増えたことを報告した。一方、全国に148カ所ある乳児院の中で、子育て短期支援事業の専従人員が配置されている施設は25施設にとどまっており、全体の約17%しか配置されていなかったことについても明らかにした。
このほか、5月に佐賀県の乳児院で、一時保護中のこどもの保護者から切り付けられた職員が死亡した事件を踏まえ、施設の現状把握とともに、児童相談所との連携を深めるよう呼び掛けた。
今年の役員改選で横川氏(麦の穂乳幼児ホームかがやき、岐阜)を新会長に選出。平田ルリ子前会長は顧問に就任した。

