保育公定価格、国家公務員準拠から脱却を 大都市隣接6県が要望
2024年12月31日 福祉新聞編集部人事院勧告により給与水準の高い大都市への保育士流出が一層加速する恐れがあるとし、隣接する大都市に保育士が流出する悩みを持つ6県の知事らは12月23日、三原じゅん子こども政策担当大臣に、保育士給与の原資となる公定価格の地域区分の大胆な見直しなどを求める要望書を提出した。
奈良、埼玉、千葉、和歌山、神奈川、佐賀の6県は昨年夏、保育士流出の是正に向け、隣接する自治体間で公定価格に大きな差が生じないよう国に対応を要望していた。
2回目となる共同要望に踏み切った背景には昨年8月の人事院勧告がある。保育の公定価格の地域区分は国家公務員の地域手当に準じて設定される。人事院勧告では、国家公務員の地域手当の区分を市町村単位から都道府県単位を基本とするよう勧告。この通りに反映されれば、地域よっては都府県格差が今以上に拡大し、保育士の県外流出に拍車が掛かる恐れがある。保育の公定価格の地域区分について、こども家庭庁は2025年度からの見直しはせず、引き続き見直し方法について議論を進める方針を示している。要望書では、保育の公定価格の地域区分は「国家公務員の地域手当に準拠するという考え方から脱却」することを求めた。
その上で、住民の県外就業率が高い地域については就業先の地域区分との均衡や、さらに将来的には都道府県域を超えた広域的な区分も考慮することなどを要望した。