潜在保育士の学び直し 県央福祉会が講座を初開講(神奈川)

2024年0829 福祉新聞編集部
保育現場を見学する潜在保育士

保育士資格を持ちながら、保育士として働いていない「潜在保育士」の復職を後押ししようと、神奈川県内で10保育所を運営する社会福祉法人県央福祉会(同県大和市、柴田琢理事長)は今夏、潜在保育士を対象にしたリスキリング(学び直し)講座を初開講した。

潜在保育士は全国でおよそ102万人いるとされる。保育現場では人手不足が深刻化しており、こども誰でも通園制度の全国展開や3、4、5歳児の保育士配置基準の改善で保育士の需要が一層高まることが見込まれる。

法人前理事長で相談役の佐瀬睦夫氏が「潜在保育士の復職支援を法人独自で取り組めないか」と提案し、法人総務企画部と保育部会が協力して受講費無料の学び直し講座を企画した。

大和市の後援を得て8日、同市文化創造拠点シリウスで開講し、20~40歳代の潜在保育士7人が参加した。講座では日本保育協会同県前支部長の伊澤昭治五反田保育園長が保育を取り巻く動向や、事故防止など現場で注意を払ってほしい点を伝えた後、会場近くの複合型子育て支援施設「こどもの城」を見学した。

こどもの城は市がハード面を整備して運営は県央福祉会が担う公私連携型施設で、0~2歳児が通う保育所「ななつぼし」などを展開する。幼稚園や認定こども園へ送ったり迎えに行ったりする前後にこどもを預かる「送迎ステーション」も一体化した全国でも珍しいタイプの児童福祉施設だ。

参加した20代の男性は「生活介護事業所で働いているが、ずっと児童発達支援に興味があった。この講座に参加して選択肢の幅が広がった。将来は児童福祉分野で働きたい」と語った。

法人保育部会長の佐久間葉子湘南あかね保育園長は「保育士に関するネガティブな情報があふれる中、それを払拭ふっしょくできるよう来年度以降も継続したい。時期の変更やオンラインの活用など参加してもらいやすい方策を検討していく」と述べた。