ニーズ減少に備えを 保育の在り方で意見書案(名古屋)

2024年0522 福祉新聞編集部

将来的な保育ニーズの減少局面を見据え、保育施策の在り方を検討する名古屋市の有識者検討会の意見書案が4月26日判明した。少子化や保育ニーズの伸びが鈍化している現状を踏まえ、新設を柱としてきた施設整備を見直す必要性を明記するなど、待機児童対策がソフトランディング(軟着陸)できる対策を進めるべきだとした。

同市は2022年度が保育ニーズのピークになると見込んでいたが、保育所の利用児童数は依然増加を続けている。待機児童は11年度に1000人を超えて全国ワーストになったが、保育所の新設や既存施設の定員拡大を進め、14年度からは待機児童ゼロを継続。23年度までの10年間で、保育所は107カ所、定員は1万8257人分増えている。

一方、市内の就学前児童数は減少を続け、保育所の利用児童数の伸びは近年鈍化傾向になっている。こうした背景から、市は将来直面する保育需要のピークアウトを前に、今後の保育施策の在り方を検討する必要性があると判断。有識者検討会が昨年5月から議論を重ねてきた。

意見書案では、待機児童対策のソフトランディングに向け、新設を柱としてきた施設整備は見直し、今後は既存施設の利用枠の維持、確保に向けた取り組みが重要になると指摘した。

マンション建設や大規模な宅地開発で局地的に保育ニーズが高まった場合は、既存の社会資源の活用や、賃貸方式による民間保育所の設置を検討することが望ましいとした。

保育ニーズの減少局面に備え、民間保育所で柔軟な定員減少を可能とする仕組みづくりの検討などを促したほか、市外に居住するこどもの受け入れを行っていない状況を改め、「(保育の)広域利用の実施を検討すべき」と明記した

市は今後意見書の内容を踏まえ、保育施策の方向性を示す方針だ。