少子化対策に3兆6000億円 こども未来戦略案

2023年1217 福祉新聞編集部
あいさつする岸田首相(中央)

政府は11日、第8回こども未来戦略会議を開き、少子化対策の強化に向けたこども未来戦略の案を示した。今後3年かけて3兆6000億円の予算を確保する方針を示し、具体的な財源確保に向けた内訳も示している。

 

政府が6月に閣議決定したこども未来戦略方針は、今後3年かけて取り組む「加速化プラン」を示した。具体的には、児童手当の拡充や、育児休業給付の手取り10割といった経済支援のほか、就労要件を問わずに利用できる新たな保育所の通園制度などを盛り込んだ。

 

ただ、予算規模は「3兆円半ば」とするにとどめ、財源は2028年度までの徹底した歳出改革で対応することとした。同時に社会保険を活用して企業や個人が負担する「支援金制度」も検討。つなぎとして「こども特例公債」を発行する方針だった。

 

今回明らかになった戦略案では予算規模について3兆6000億円と提示した。内訳は経済的支援の強化などが1兆7000億円、子育て家庭への支援拡充が1兆3000億円、共働き・共育ての推進が6000億円だった。

 

こうした財源については、歳出改革で1兆1000億円を確保する。子ども・子育て拠出金など既定の保険料財源や社会保障と税の一体改革における社会保障充実枠の活用で1兆5000億円を計上した。

 

また、賃上げにより実質的な社会保険負担を軽減させた上で、28年度までに新たな支援金制度を創設することで1兆円を捻出する。それまでの財源不足を補うために特例公債を発行するという。

 

戦略案では新たな施策として、25年度から3人以上のこどもがいる家庭に対して大学や専門学校などの授業料と入学金を無償化する方針を示した。所得制限は設けない。

 

大学の授業料免除の上限は、国公立が約54万円、私立が約70万円となる見込み。扶養するこどもが3人いる場合、第1子から無償化の対象となる。ただ、第1子が社会人になり扶養から外れれば、第2子と第3子は対象外となる。

 

同日の会合で、岸田文雄首相は「施策を策定するだけでなく、意義や目指す姿を国民一人ひとりに分かりやすいメッセージで伝え、社会全体で子育て世帯を応援する機運を高めていくことが必要だ」と語った。