地域限定保育士制度を全国展開 制度改正に向け新方針

2023年1202 福祉新聞編集部

こども家庭庁は、特定のエリアで働くことができ、4年目以降は全国勤務も可能となる「地域限定保育士」制度の全国展開に向けた制度改正の方針案を示した。児童福祉法上に位置付け、全国勤務には地域限定保育士として一定の勤務経験を求める。来年の通常国会に児童福祉法改正案の提出を目指す。

 

保育現場での人手不足が課題となる中、確保策の一環として地域限定保育士制度の全国展開を図る。同庁が11月27日の「保育士資格等に関する専門委員会」で明らかにした。

 

国家戦略特別区域法に基づく地域限定保育士制度は、2015年度から国家戦略特区でスタートした。自治体の試験に合格して地域限定保育士の登録後、3年間はその自治体限定で働くことができ、その後は一般の保育士と同様に全国で働ける仕組みで、神奈川、大阪、沖縄の3府県が実施している。

 

同庁が示した全国展開の方針案によると、特区以外の自治体でも保育士確保のために「特に必要がある」と認める場合に限り、地域限定保育士試験を実施できるとした。年2回実施する通常の保育士試験でも不足する場合を想定する。

 

また、4年目以降に可能となる全国勤務では、要件として「地域限定保育士として1年間以上の勤務経験」を設ける。

 

現行制度では保育現場で働かなくても、地域限定保育士の登録から4年たてば全国で働くことができ、委員から質担保の観点で懸念の声が上がっていた。