ADHD治療薬の供給量増 患者の不安に事務連絡〈厚労省〉
2025年09月10日 福祉新聞編集部
ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬「アトモキセチン製剤」の先発品「ストラテラ」が昨年9月に製造停止されたことなどにより、患者に治療薬不足に対する不安が広がっていることについて、厚生労働省は8月27日、自治体に事務連絡を出した。
事務連絡では、製造業者が後発品を増産するなど対応しており、今年6月時点のアトモキセチン製剤の総供給量は、先発品の製造停止前の総供給量を上回っていると説明。医療機関は過剰な発注は控え、地域の薬局間で可能な限り調整するよう促した。
先発品は発がん性物質が検出されたため製造が停止された。8月26日に治療薬の安定供給を求めて厚労省に陳情した「発達障害当事者協会」(新孝彦代表)によると、治療薬不足を記した医師のSNSが拡散したことにより、不安が広がった。1錠の分量が変わったり、代替薬で体調を崩したりするなどの声も寄せられた。
事務連絡では、後発品の製造業者がさらに増産を検討していることなども記している。同協会は「深く安堵した。アトモキセチン製剤は多くのADHD患者の生活を支える上で欠かすことのできない命綱だ」と話した。