神経性過食症、オンライン治療が有効 国立精神・神経研究センターが比較試験
2025年09月03日 福祉新聞編集部
国立精神・神経医療研究センターは8月25日、短時間に大量の食べ物を食べてしまう神経性過食症の患者にオンライン治療が有効だとする研究成果を発表した。患者の通院負担を減らし、自宅で専門的治療を受ける選択肢ができたとしている。
2022年8月から24年10月、13~65歳の女性患者61人を通常の治療のみのグループと、それにオンライン治療を加えたグループに分けて治療し、12週間後に比較したところ、後者は過食や嘔吐・下剤乱用の頻度が減ったという。
この場合のオンライン治療とは、文章、写真、動画を用いたプログラムをウェブ公開し、患者が治療者のガイドに沿って取り組むもの。認知行動療法に位置付けられ、患者は治療者とチャットやメールでやりとりする。
福井大など国内六つの大学病院、スウェーデンの大学と共同で比較試験を行い、世界で2例目となる実証に成功した。この研究成果は米国の医学系学術誌に掲載された。
過食症と拒食症を含む摂食障害の国内の推計患者数は22万人。死亡率は約5%で精神疾患の中でも高く、若い女性患者が多い。国内で治療にあたる医療機関は少ないが、同研究センターは22年11月、そのリストをウェブに公開した。