障害福祉サービス総量規制実施は1割 自治体間に相違〈厚労省〉
2025年08月27日 福祉新聞編集部
障害福祉サービスがニーズに対して過剰にならないよう、事業所の指定をしないことができる「総量規制」を実施する自治体(都道府県、政令市、中核市、一部の市町村)は1割にとどまることが、厚生労働省の調査で分かった。実施に前向きな自治体は4割、否定的な自治体は3割で、考え方や対応に相違もみられた。
調査結果は2027~29年度の第8期障害福祉計画を議論している、7月24日の社会保障審議会障害者部会に示された。現在、総量規制の対象は障害者支援施設、生活介護、就労継続支援A型、B型の4サービス。部会では近年急増しているグループホーム(GH)を対象に加えるかが論点の一つになっている。
見込み量は、市町村の8割が過去のサービス量を基本に推計し、アンケートや国の障害福祉施策の動向なども考慮して判断していた。23年度時点の状況をみると、GH、就労継続支援A型、B型はサービス供給が見込み量より多く、特にGHは40都道府県でサービス供給が上回っていた。
総量規制に前向きな理由としては「事業所数を適正な量に維持することでサービスの質を確保する」、否定的な理由は「見込み量を超える需要に対応できるようにする」が多かった。対象に追加すべきサービスとしてはGHが最多だった。
一方、事業所の指定を行う都道府県に対し、市町村が意見できる申し出制度(24年4月創設)を知っている市町村は5割、実際に意見を申し出た市町村は1割だった。
委員からは総量規制がサービスの質の確保に直結しないとの指摘や、見込み量の精査が必要だとする意見のほか、GHに空きがあっても重度障害者は受け入れてもらえないため、単なる数だけの議論になることへの懸念も示された。
総量規制=自治体が障害福祉計画で定めているサービス利用見込み量に対して、すでにサービスが必要量に達し、ニーズに比べてサービスが過剰にならないようにするため、新規事業所の指定申請などを自治体が拒める仕組み。障害者総合支援法に規定されており、地域のサービス量を計画的に管理し、サービスの質を維持、向上させる目的がある。