合理的配慮は障壁の除去 障害者政策委員会で石川氏が講演

2024年0630 福祉新聞編集部
石川氏の講演資料より

内閣府の障害者政策委員会(委員長=熊谷晋一郎・東京大准教授)が6月24日に開かれた。講演した同委員会前委員長の石川准・静岡県立大名誉教授は「合理的配慮は気遣いや心配りではない。合理的環境調整のことであると徹底してほしい」と述べた。

また合理的配慮は、いま社会的障壁にぶつかった障害者の求めに個別に対応することで、不特定多数の障害者が経験するであろう社会的障壁を事前に取り除く「事前的環境整備」と両輪であると説明。日本の障害者差別解消法は合理的配慮の不提供を差別としている一方で、英国や米国の法律では「事前的環境整備」も合理的配慮としているとした。

さらに、委員会の機能にも言及。制度的位置付けは国の政策の審議会だが、障害者権利条約の「独立した監視枠組み」の機能も引き続き維持していくよう求めた。2022年9月の国連障害者権利委員会の日本政府に対する総括所見で示された勧告に対する私見も述べた。

委員からはより詳細な解説や見解を求める質問が相次いだ。

委員会は8月以降、第5次障害者基本計画の23年度分実施状況のフォローアップを行う。