特定技能、技能実習でも訪問介護認める 厚労省検討会が新方針

2024年0701 福祉新聞編集部

厚生労働省は6月19日、「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」(座長=臼井正樹・神奈川県立保健福祉大名誉教授)を開き、特定技能や技能実習の外国人材による訪問介護を認めることなどを盛り込んだ中間まとめを提示した。

検討会は昨年7月、政府の有識者会議が技能実習を廃止して新制度創設を検討していることを受けて議論を開始。介護福祉士の外国人が働く事業所へのヒアリングも行った。

現在、特別養護老人ホームなどの施設では、在留資格を問わずに就労できる。しかし、訪問介護は、経済連携協定(EPA)締結国出身の介護福祉士や、在留資格「介護」がなければ働くことができない。

中間案は、ヒアリングなどを踏まえ、外国人材による訪問介護は、日本人同様に介護職員初任者研修の修了者であることを前提に、一定の条件の下で認めるべきだとした。

具体的な条件として、事業者には(1)訪問介護の基本事項や日本の生活様式を含む研修(2)一定期間必要な同行支援(3)キャリアパスの構築に向けた計画を作成(4)ハラスメントを防止するための対応マニュアルを作成――することなどを求めている。

一方で、外国人の技能実習制度に代わって育成就労制度を創設する「技能実習法等改正法」が6月14日に成立した。労働力不足を補うための人材確保と育成を目的とし、同じ職場で1~2年働いて一定の要件を満たせば転籍(転職)を認める。

会合で、濵田和則・全国社会福祉法人経営者協議会外国人介護人材特別委員長は、外国人による日本語習得の難しさを指摘し「一定水準を満たす人材は在留資格を延長し、人材流出を防止する方法を検討いただきたい。特に地方は人材獲得が困難だ」と語った。

中山辰巳・全国老人福祉施設協議会外国人介護人材対策部会長も「働く権利は認めなければならないが、今でも地方から都市部への流入は多い。転籍を認めるなら憂慮する事態が起こる」と述べ、国のサポートを求めた。

一方、斉藤正行・全国介護事業者連盟理事長は「特に訪問介護のヘルパー不足は際立ち、事業者の倒産件数も拡大している」と指摘。早期の制度実施を求めた。