介護利用者負担2割の対象拡大 具体的範囲は年末決着(厚労省案)

2023年1216 福祉新聞編集部

介護保険サービスの利用者負担2割(一定以上所得)の対象範囲を拡大することが、7日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で了承された。具体的な範囲は2024年度介護報酬改定と合わせて年内の予算編成過程で決める。十分な準備期間を取るため適用は早くて25年夏になる。

 

現行では介護保険サービス利用者の9割強は1割負担。2割負担は「単身世帯で年収280万円以上、夫婦世帯で346万円以上」が対象で、今回この年収基準を引き下げる。

 

厚労省は引き下げた場合の粗い試算を9通り示した。例えば「単身270万円以上、夫婦336万円以上」とすると8万人が負担増になる。ほかに「単身250万円以上、夫婦316万円以上」では27万人、「単身230万円以上、夫婦296万円以上」では45万人がそれぞれ負担増となる。

 

委員から賛成意見の一方で、「要支援・介護認定者の収支状況が示されないと判断できない」(花俣ふみ代・認知症の人と家族の会常任理事)など、対象範囲拡大に反対や慎重な検討を求める発言もあった。「予算編成過程で検討」という厚労省案に「誰が検討するのか。納得しがたい」(笹尾勝・全国老人クラブ連合会常務理事)との指摘もあった。

 

賛否割れる中で厚労省は「予算編成過程でしっかり検討したい」とまとめ、負担増による利用控えなどの影響が出ないことなどに留意するとした。