高齢者の介護保険料、所得410万円以上は増額(厚労省案)

2023年1111 福祉新聞編集部
給付と負担の議論が行われた

厚生労働省は介護保険の1号保険料について、年間の合計所得が410万円以上の高齢者を対象に引き上げる案を6日の社会保障審議会介護保険部会に示し、大筋で合意を得た。引き上げによる増収分は低所得者の1号保険料の引き下げに充て、所得分配機能を高める。来年4月開始の第9期介護保険事業計画期間からの適用を見込む。

 

1号保険料は所得に応じて標準で9段階に分かれている。最上位の9段階の対象者は年間の合計所得が320万円以上となっている。

 

見直し案では、その上に新たに10段階が410万円以上、11段階が500万円以上、12段階が590万円以上、13段階が680万円以上の高所得者を対象とする4段階を設け、段階に応じて1号保険料を引き上げる。具体的には各市町村が定める保険料基準額に一定の乗率により算出する。第10段階以上の乗率は今後示される。

 

厚労省は10~13段階による増収分を1~3段階の低所得者の配慮に充て、もともと充てていた公費は社会保障の充実に活用することとし、詳細は今後検討する。

利用者負担2割 拡大は検討継続

同日の議題は給付と負担で、利用者負担2割(一定以上所得)の対象拡大についても論点に挙がったが、結論は出なかった。

 

利用者負担は原則1割で全利用者の91・8%が該当。2割負担は単身世帯で年収280万円以上、夫婦世帯で346万円以上が対象で4・6%が該当する。

 

厚労省は2割負担の単身世帯と夫婦2人世帯(いずれも75歳以上)の年収別の平均収支について、それぞれ三つのモデルケースを示した。例えば、単身で年収220万円の場合、支出は211万円で収支はプラス9万円となり、ほかの五つのケースも収支はプラスだった。

 

2割負担は所得でみると利用者の上位20%にあたるが、後期高齢者医療の患者負担が昨年10月から所得の上位30%の人となったこともあり、両者の整合性を図る観点もある。

 

委員の意見は賛否あり、「高齢者の生活実態や影響を把握する必要がある」「医療は一時的だが、介護は継続的に必要で現状維持が望ましい」「負担が重くなることで利用控えが懸念される」「貯蓄や資産も勘案すべき」といった発言があった。