通所介護の入浴介助加算Ⅰ算定に研修追加 加算Ⅱは訪問要件を緩和

2023年1105 福祉新聞編集部

厚生労働省は10月26日、社会保障審議会介護給付費分科会を開き、2024年度介護報酬改定で通所介護の入浴介助加算の算定要件を見直す案を提示した。同加算Iでは入浴介助技術を高めるため新たに研修を組み込み、同加算Ⅱでは利用者宅を訪問する職種に一定の条件のもと介護職員も認める案を示した。

 

同加算は21年度介護報酬改定で2区分に分けられた。上位の同加算Ⅱでは医師やリハビリ専門職などが利用者宅を訪問して浴室環境を評価し、計画を作成して介助することが要件となった。利用者が自立して入浴できるようにするのが目的だ。

 

ただ算定率(事業所ベース)をみると同加算Ⅰは92%と高いが、同加算Ⅱは12%と低い。同加算Ⅱの未算定の理由は「利用者宅を訪問して評価、助言を行う人材確保が困難」が最多だった。

 

そのため厚労省は、同加算Ⅱの要件を緩和することで事業所の取り組みを促す。医師やリハビリ専門職などの代わりに介護職員が訪問し、ICT(情報通信技術)機器を活用して指示を受けながら状況を把握することなどを認める。

 

また同加算Ⅱについて、これまでQ&Aなどで示した細かな要件を基準告示に記載し、明確化することも検討する。

 

通所介護ではほかに個別機能訓練加算Ⅰ(ロ)について、サービス提供時間帯を通じて専従の機能訓練指導員を1人以上加配することが要件となっているが、加配する時間帯の要件をなくし、加算単価の引き下げも検討する。実際に機能訓練を行う時間は利用者1人当たり1日平均10~20分が多いことなどが調査で分かり、加配された機能訓練指導員が機能訓練を行う時間以外にほかの職務ができるようにする。

 

コロナ禍で利用控えの影響を受ける事業所を支援するため設けられた「3%加算」「規模区分」の特例は、今後も緊急時に対応できる加算として残す。どのような状況を緊急時とするかは今後詰める。

 

豪雪地帯の事業所がサービスを継続して提供できるようにするため、留意事項通知で示している、計画より実際のサービス提供時間が短くなっても計画上の報酬を算定できる「やむを得ない事情」に積雪などを加え、明確化する案も示した。

通所リハの報酬 大規模型見直し

通所リハビリテーションについては、基本報酬が「規模別」「時間区分別」の体系となっているが、必ずしも大規模型でスケールメリットを得られるわけではないことから、大規模型の報酬について一定の見直しを行う。

 

病院退院後、早くからリハを始めた方が機能回復する割合が高いため、基本サービスとして医療機関のリハ計画を入手した上で計画を策定することを加える。また、通所リハ事業所の理学療法士らが退院前カンファレンスに参加して共同指導などを行った場合、新たな加算を設ける案なども示した。