養護、軽費ホーム運営費増の計算例 厚労省、処遇改善へ助言
2024年04月13日 福祉新聞編集部厚生労働省は3月26日、自治体に対し、養護老人ホームと軽費老人ホームの老人保護措置費支弁額(運営費)を増額するための計算方法の例や、Q&Aなどを示す事務連絡を出した。養護老人ホームの運営に充てるよう地方交付税で措置されている算定単価が上がっていることも示し、施設が適切な運営と職員の処遇改善ができるよう支弁額を改定することを求めている。
両ホームは国の補助金による介護職員らの2~5月の賃上げ(月6000円)の対象外で、プラス1・59%となった2024年度介護報酬改定の影響も受けられないことから、厚労省は両ホームの財源と権限を持つ各自治体に相応の対応を促している。
同様の事務連絡は1月にも出された。今回はより踏み込み、自治体の参考となるよう支弁額を増額するための具体的な計算方法を例示した。22年2~9月の介護職員らの賃上げ(月9000円)や、過去の消費税率引き上げについても、地方交付税で措置されていることから、併せて対応するよう助言した。
基準単価の増額を
各自治体は養護老人ホームの支弁額の基準単価を厚労省指針に基づいて定めているが、指針は06年に示されたもので、これまでの18年間における消費者物価指数や最低賃金などの上昇に見合った改定がほとんどされていない。そのため施設運営は厳しく、ここ5年間で20施設超が閉鎖に追い込まれている。
地方交付税で措置されている養護老人ホームの被措置者1人当たりの算定単価は、19年度の263万3000円から23年度は289万8000円に増えており、増額分は各自治体が基準単価に反映させることが求められる。
全国老人福祉施設協議会の利光弘文・養護老人ホーム部会長(社会福祉法人慈照会理事長)は「算定単価は06年度から計算すると1・38倍増えている。根本的には各自治体の基準単価の増額が必要。今後に期待したい」と話している。