市町村の6割に無縁墓 総務省が初の実態調査

2023年1003 福祉新聞編集部

総務省は9月13日、市町村が管理・運営する公営墓地のうち、管理する親族らがいない墓や納骨堂があると回答した自治体が58・2%に上ると発表した。引き継ぐ親族がいない「無縁墓」が増える可能性が高いことから、2022年3月~23年9月、初の実態調査に踏み切った。

 

無縁墓は墓地の荒廃や不法投棄の温床となり、墓石倒壊の恐れもある。総務省は同日、墓地埋葬法を所管する厚生労働省に対し、市町村を支援するよう要請。無縁墓が発生しないよう、縁故者の情報を事前に把握している事例を市町村に情報提供することを求めた。

 

調査によると、公営墓地のある765市町村のうち、6割に当たる445市町村で無縁墓などが1区画以上あることが判明。しかし、16~20年度の5年間で墓石撤去と遺骨の合葬施設への移動に着手したのは47市町村(6・1%)だった。

 

生前の孤独・孤立は社会問題だとして解消を目指す立法が進んだが、身寄りのない人の葬祭、遺骨や墓の管理についてはこれまで問題視されにくかった。

 

しかし、総務省は今年3月、親族などの引き取り手がいない死者が18年4月からの約3年半で約10万件発生したとする調査結果を公表。また、引き取り手のない遺骨約6万柱を市区町村が保管していることも明らかにした。