福祉用具の考え方〈高齢者のリハビリ〉
2023年06月09日 福祉新聞編集部福祉用具は、高齢者が日常生活を送る上で自立した生活を支援するための機能的な補助具であり、利用される人の日常生活を支援するために必要な手段の一つです。リハビリを行う上でも大きな役割を果たします。
関わるスタッフが福祉用具について正しい知識を持つことは、利用者の生活を支援するのみでなく、リハビリを促し、QOL(生活の質)を高めていくことにつながります。
今回は福祉用具についての基本的な考え方を紹介します。
福祉用具とは、高齢者や障害者が自立した生活を送るために必要な機器、器具、器材などのことを指し、入浴、トイレ、食事、寝具、移動、コミュニケーション支援など生活のさまざまな場面で使用されます。
選定について
代表的な福祉用具としては車いす、歩行器、手すり、シャワーチェア、入浴用リフト、寝たきり予防用マット、食事用具などがあります。
これらの福祉用具を選定する際には、利用者の身体的機能や認知機能、性格、習慣、生活環境、役割などを考慮して、適切な福祉用具を選定する必要があります。
車いすを例にすると、個人の体格や体形に合っていなければ車いす乗車時の姿勢は崩れ、座っていること自体が苦痛になってきます。
利用者に合わせて考えるべき車いすの基本的なチェックポイントとして、シートの幅、奥行き、床からの高さ、背もたれの高さなどがあります。
使用について
福祉用具は正しく使われることが肝心です。使用方法を間違えると利用者に不快な思いをさせるだけでなく、事故につながることにもなりかねません。
福祉用具の中には清掃や調整などのメンテナンスが必要で、日常的な点検が欠かせないものもあります。福祉用具の選定や使い方、メンテナンスなどについては、メーカーへの問い合わせや、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などへの相談も大切です。
福祉用具は常に進化し、新しい製品が生まれています。カタログを見るだけでも楽しくなります。
介護ロボット、床ずれ防止、転倒予防など、AI(人工知能)の技術が導入された機器も開発されていますので、最新の情報を得るために説明会や研修などの機会も大切にしたいものです。
福祉用具は利用者の生活に直結します。利用者に笑顔がみられるよう、広い知識と正しい使い方を学んでいきましょう。
筆者=川村洋 小金井リハビリテーション病院 主任
監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長