道具は箸だけにあらず

2022年0930 福祉新聞編集部

 いくつになっても食事は大きな楽しみの一つです。けがや病気によって腕や手が動かしにくくなったとしても、少しでも自分で食事を取りたいと思う人は多いです。

 

 そんな時に役立つのが自助具です。自助具を準備することで食事が自立する道も開けるかもしれません。今回は多くの可能性を秘めた、さまざまな自助具を紹介します。

 

箸やスプーン、フォークだけでなく、3Dプリンターで自助具を作ることもある

 

箸タイプ

 ピンセットタイプの箸だと箸同士がずれることなく持てますし、ピンセットの力で楽に箸を開くことができます。特性はそのまま、持ち手の形状を変えてピンセット箸よりも持ちやすくなったタイプもあります。箸を好まれる患者さんに試してみてもらうのも良い手です。

スプーン・フォークタイプ

 口に届きやすくするため、首の部分を自由に曲げられるタイプがあります。柄を太くして持ちやすくするためのスポンジやスプーン、フォークを手に巻き付けて持つためのカフもあります。

 

 皿のふちに90度程度の傾斜をつけて、スプーンですくったり、フォークで刺したりしやすいようにするタイプや、味噌汁用のおわんやコップに大きめの持ち手を付けて持ちやすくしたタイプもあります。また、すくう際にお皿が動かないように裏に滑り止めのついたタイプもあります。

食器

 食器の下に滑り止めシートを敷くことですくいやすくなることもあります。また、こぼれて汚れることを気にされる患者さんに対してエプロンを付けて汚れを防ぐことで、自分で食べる意欲が高まることもあります。

 

 食事用の自助具だけでもさまざまなタイプがあるため、患者さんに応じて提供してみるのが良いです。提供した後は実際に患者さんの食べやすさの確認や、摂取量に変化があったかの確認も忘れないようにしましょう。

その他

 また、最近は3Dプリンターで便利な道具が作れるようになっています。ペットボトルのふたを開けるためのペットボトルオープナーや、納豆の入れ物を固定して片手で食べられるようになるキットも出てきています。「食事自助具」「食事3Dプリンター 自助具」「片手でできるプロダクト」などでインターネット検索すると、新しい自助具を発見できるかもしれません。

 

 さまざまな自助具の情報を得て、必要に応じて患者さんに提供してみると、食事への意欲向上や自立度の向上が図れることもあるため、参考になれば幸いです。

 

筆者=村谷翔一 五反田リハビリテーション病院 課長

監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長。

 

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