連携推進法人への期待は〈コラム一草一味〉
2025年04月15日 福祉新聞編集部
辻村 泰範 宝山寺福祉事業団 理事長
福祉の世界では「連携」という言葉には色あせない響きがある。普遍的なテーマの一つだ。
2020年の社会福祉法の一部改正によって創設された社会福祉連携推進法人は、25年1月現在全国で27法人が設立認可されているという。いくつかの志を同じくする社会福祉法人が核となって設立される厚生労働省肝煎りの一般社団の新法人制度だが、全国に2万を超える社会福祉法人の数を考えると、なかなか思ったように進んではいないように思える。
待っていましたと飛びつくほどの魅力がないのか、メリットを感じないのか。厚労省はことあるごとに連携推進法人の活用を訴えているのだが。
経営基盤の強化に資することを大きな目的に掲げているところから、この法人は社員である社会福祉法人に対して貸し付け業務を行うことができるとされている。財務体質の脆弱な法人にとっては願ってもないことのように見える。
しかし、その原資は社員が拠出することになるのだから、よほどの数の法人が集まらない限り、たかが知れている。おまけに貸し付けごとに所轄庁の認定が必要とされているので気が重い。
全国社会福祉法人経営者協議会は今後の事業のあり方をめぐって多角化、多機能化をうたっている。しかし連携推進法人は、社会福祉事業はできないと明記されているし、それに類する事業もできないことになっている。ダウンサイズの議論が高まる地域や業界に対して、要するに肝が入っていないのだ。
人材の確保や研修などもうたい文句だが、既に社会福祉法人である都道府県社会福祉協議会が大きな役割を果たしている。そもそも連携推進法人は社団法人だから税制面も気になる。このままではコンサルティングを主な業務にするだけのように映ってしまうのだ。