合理的配慮はカスハラに非該当 障害者団体が厚労省分科会で要望

2025年1120 福祉新聞編集部
厚労省分科会で意見した障害者団体

顧客に理不尽な要求をされる「カスタマーハラスメント」について国の指針を検討している厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長=植村京子弁護士)が6日に開かれ、五つの障害者団体からヒアリングした。障害者団体は事業者には障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供が義務付けられており、障害者が合理的配慮を求めることはカスハラに当たらないことを明示するよう求めた。

6月に成立した改正労働施策総合推進法により、企業や自治体、福祉施設に従業員をカスハラから守る対策を行うことが義務付けられ、国が策定する指針に具体的な内容を定めることになっている。

指針の策定にあたって焦点の一つが、障害者への合理的配慮とカスハラの区別。障害者がサービスを利用する際に合理的配慮を求めることが過剰な要求としてカスハラと受け止められてしまうことが懸念される。

障害者団体は合理的配慮の義務化を順守するよう明記した上で、障害特性によっては話が分かりづらいことがあるが、互いに確認しながら共通理解を重ねていく「建設的対話」を行うことが必要不可欠と訴えた。

一方、障害者は従業員として働く立場でもあり、カスハラに遭うリスクが高いことも想定されるため、安心して働ける環境を整備することを指針に盛り込むよう求めた。

また、トラブル防止に向けて多様な障害を理解するための研修や、内閣府の「合理的配慮の提供等事例集」の周知なども提案した。

厚労省は同日の議論を踏まえ、次回の分科会に指針の素案を示す。施行は改正法の公布日(2025年6月11日)から1年6カ月以内で政令で定める日とされている。

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