手帳未所持の精神、発達障害者は雇用率対象外 現行の仕組み維持の方針〈厚労省〉

2025年1110 福祉新聞編集部

厚生労働省は、障害者手帳を所持していない精神、発達障害者について、引き続き雇用率制度の対象外とする方針を固めた。精神障害者保健福祉手帳(有効期間2年)を更新できなかった場合は、現企業に今後も雇用される見込みであれば一定期間、従来通り雇用率に算定できるようにする。10月29日に開いた今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(座長=山川隆一明治大教授)で、委員から大筋で合意を得た。

障害者雇用促進法における障害者は、身体、知的、精神障害者に加え、そのほかの心身機能障害により職業生活が困難な人も含まれている。一方、事業者に求められる雇用義務の対象は原則、手帳所持者に限っているため、手帳を所持していない障害者の扱いについて整理するよう求められていた。

精神障害者保健福祉手帳は国際疾病分類における、すべての精神・行動障害(発達障害を含む)と、てんかんを対象とし、生活に制限があると認められると交付される。そのため厚労省は、手帳を所持していない人を別の基準を設けて雇用率の対象とする必要性は低いと判断した。

また、高齢・障害・求職者雇用支援機構が精神、発達障害者を支援したことのある就労支援機関を対象にした調査(2024~25年度)で、手帳を所持しない理由は必要性を感じないことが最多で、障害者雇用の拡大などを受けて、所持することに対する抵抗感が減少していることも判断理由に挙げた。

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