障害者権利条約「日本まだ基準と隔たり」 キム国連委員長が講演
2025年12月24日 福祉新聞編集部
国連障害者権利委員会のキム・ミヨン委員長と田門浩委員が4日、東京都千代田区の全国社会福祉協議会・灘尾ホールで開かれた「日本障害フォーラム」(阿部一彦代表、JDF)の全国フォーラムで講演した。JDFは日本が2014年1月に批准した国連障害者権利条約の推進を目的に14の関係団体で活動している。
キム氏は障害者差別解消法を制定するなど、日本が障害者の権利を強化するための改革を推進してきたことを高く評価。しかし、まだ医学モデルに基づく制度が残り、福祉サービスの体系も条約が求める基準と隔たりがあると指摘した。
「条約の根本的な目標は障害者が自分で選択して地域で自由に生きていく権利の保障にある(第19条)」と持論を述べた上で、日本に対し、施設から地域生活への移行、精神科病院の長期入所の解消などに取り組むよう進言。障害がある女性のための施策、情報通信分野の基準の制定、独立した人権委員会の設置なども優先すべき課題に挙げた。
参加者に向けて「日本は条約履行の国際的なモデルになる能力や資源を備えている。完全なインクルージョンと平等に向かう道を共に歩みましょう」と呼び掛けた。
また、キム氏はさまざまな政府間会議に出席しており、国際的な動向についても紹介。条約履行の評価は、文書による報告から実際の変化と数値的根拠の提示へとシフトしていくことなどを説明した。
続いて1月に委員に就任した田門氏が登壇。障害当事者の政策への参画、独立した国内人権機関の設置などが重要だとした。

