「特例介護サービス」拡大で対応 人口減少地域の体制維持〈厚労省〉

2025年1020 福祉新聞編集部

社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実早稲田大理事)が9日に開かれ、厚生労働省は人口減少地域で高齢者が必要なサービスを受けられる体制を維持するため、「特例介護サービス」の枠組みを拡張して対応することを提案した。

現行では居宅介護などで、特例介護サービスとして、省令で定める人員や設備を満たしていなくても市町村が認めれば「基準該当サービス」として支援できる。同様に中山間地域などでも「離島等相当サービス」として柔軟に支援ができる仕組みがある。

会合で厚労省はこうした特例介護サービスの枠組みに新たな類型を追加することで対応することを提案した。

サービスや事業所間の連携などを前提に、管理者や専門職の常勤・専従要件や、夜勤要件を緩和。その際の人員配置基準などは国が基準を設けて都道府県が条例で規定する。

ただ、現行で特例介護サービスの対象外となっている施設サービスについては、24時間対応が必要である中、個々の職員の負担につながると懸念を示し、論点に挙げた。

このほか訪問系サービスでは、移動の負担が大きいなど安定的な経営が難しいことから、現行のサービス回数に応じた出来高報酬と、利用回数に左右されない月単位の定額報酬を選択できる枠組みを提案した。

これに対して、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は特例介護サービスに関する厚労省の提案に賛成だと強調。定額報酬についても同意し「保険があってサービスがない状況の打開にはさまざまな方策を組み合わせることが必要」と語った。

全国老人福祉施設協議会の山田淳子副会長も地域密着型サービスも含め施設サービスを新たな特例介護サービスの対象とすることに賛成する意向を示した。ただ、職員の負担軽減に向けたICT(情報通信技術)機器導入のための補助金が都道府県で大きな差があることを問題視した。

日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は「配置基準緩和の趣旨は理解できるが、介護の質を担保することや、職員への負担の配慮も極めて重要な視点だ」と指摘。介護福祉士を配置要件とするよう求めた。

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