自損による緊急搬送増加 若年女性8年で3倍に
2025年09月22日 福祉新聞編集部
厚生労働大臣の指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」は世界自殺予防デーの10日、自傷や自殺未遂などの「自損行為」で2016~23年に救急搬送された人の分析結果を発表した。搬送人数は増加傾向にあり、23年は16年比16%増の4万2977人。1日平均118人だった。特に20歳未満の搬送が増え、近年のこどもの自殺増とも符合する。
調査は自殺対策推進のため、消防庁の救急搬送データを年代や男女別に分析した。
それによると、人口10万人当たりの搬送人数は0~19歳の女性が23年は44人で、16年(15.7人)の2.8倍に急増した。20~39歳の女性も69.7人から98人へと1.4倍に増えた。
一方、0~19歳の男性の搬送人数は23年が12人、16年が7人。20~39歳は23年が38.3人、16年が32.7人。8年間で増えたが、同じ年代の女性より伸び幅は小さい。
女性の7割は過量服薬
また、同センターが日本臨床救急医学会と構築した自傷・自殺未遂症例登録システムを分析したところ、22年12月から2年間の登録数は4521件。
男女比はおおむね4対6で女性が多く、10~20代は女性が男性の2倍以上だった。自傷・自殺未遂の手段は、男女とも過量服薬(オーバードーズ)が最も多く、女性の場合は7割を占めた。
こども家庭庁、10月から自殺未遂者を調査
こども家庭庁は11日、こどもの自殺対策をめぐる関係省庁会議を開き、各省庁の取り組みをパッケージとしてまとめた。自殺未遂したこどもを対象とした調査研究事業を10月から始める。また、6月に成立した改正自殺対策基本法を受け、自殺未遂したこどもを支援するため自治体が設置できる協議会の運営指針も作る。
改正法は自殺未遂者への支援施策のうち、こどもについては、自治体が学校、児童相談所、病院、警察といった関係機関で構成する協議会を設置できると規定。協議会はこどもの自殺防止について情報交換したり、必要な支援措置を話し合ったりする。26年度から運用が始まる。