生活保護減額違法判決、処分やり直しを議論 厚労省専門委で法解釈

2025年0917 福祉新聞編集部

2013~15年の生活保護費引き下げを違法とした最高裁判決を受け、厚生労働省は8日、判決への対応を検討する専門委員会(委員長=岩村正彦東京大名誉教授)の第3回会合を開いた。

行政法を専門とする2人の委員が法的な解釈を再度披露し、ゆがみ調整については処分をやり直す方向で議論が進んだ。

太田匡彦東京大大学院教授(行政法)と興津征雄神戸大大学院教授(行政法)の意見を総合すると、今年6月の最高裁判決は引き下げ前の基準に戻したが、その時点から将来に向けて引き下げ処分をやり直すことは妨げていないという。

その上で、物価下落を反映する「デフレ調整」を再度行うのは現実的ではないとする一方、一般低所得世帯との格差を是正する「ゆがみ調整」はやり直す余地があるとした。

原告側は引き下げ前の基準との差額を当時の受給者全員に速やかに支給するよう求めており、専門委の議論とは隔たりがある。

座長の岩村氏は「法的な議論は大事だが、それだけで結論は出せない。次回は経済指標を参照しながら議論する」と述べた。

原告弁護団は会合後の会見で「議論を蒸し返してばかりで論点が整理されていない。いつまでこんな議論をするのか」などと批判した。

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