死亡者は追加支給対象外 生活保護減額違法判決〈厚労省〉
2025年11月08日 福祉新聞編集部
厚生労働省は10月29日、生活保護費の2013~15年の引き下げを違法とした最高裁判決をめぐり、減額分を当時にさかのぼって追加支給する場合、すでに死亡している人は対象外とする案を明らかにした。
同日の専門委員会(委員長=岩村正彦東京大名誉教授)に提示した。過去の判例などに基づき、本人が死亡した場合は遺族などに引き継がれないことを理由に挙げた。
原告側は、生死にかかわらずすべての生活保護利用者に減額分を支給すべきだと訴えている。弁護団によると、これまでに原告だけでも200人以上が亡くなっている。
専門委員会は減額分を原告に全額支払う案のほか、減額分を圧縮した上で当時の受給者全員に追加支給する案も検討している。
追加支給の対象をどこまでとするかという問題があり、当時の受給者のうちすでに死亡した人、保護廃止になった人、現在国内にいない人、外国人をどうするかを論点とした。
また、13年からの引き下げにより保護の対象外となった人、生活保護の基準が影響する他制度(例=個人住民税の非課税限度額)の扱いをどうするかについても議論した。
専門委員会は今後、こうした論点の取りまとめに向けた議論に入る予定だ。

