福祉医療機構、福祉施設の23年度経営分析を発表

2025年0214 福祉新聞編集部

養護老人ホーム、特定施設の収益率改善

福祉医療機構(WAM)は1月31日、養護老人ホームの2023年度決算を分析した結果を公表した。養護老人ホームのうち、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設(特定施設)は、収益率が前年度から2・8ポイント改善してマイナス0・8%だった。50・6%の施設は赤字だが、前年度より9・7ポイント減った。

詳細をみると、利用率は88・1%で1・9ポイント減少したが、経費率(給食費や光熱水費など)が1・9ポイント減ったことや、定員1人当たりサービス活動収益が、22万円増えたことなどにより収益率が上向いたとみられる。サービス活動収益に占める介護保険事業収益は28・7%で前年度から6・9ポイント増えた。

一方、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けていない施設の収益率は0・6ポイント増のマイナス2・3%、赤字施設の割合は2ポイント減の55%だった。

従事者1人当たりの人件費は、特定施設の423万円より、一般型の443万円の方が20万円多かった。

決算分析は特定施設166施設、一般型189施設を対象に実施した。

軽費老人ホーム、特定施設は収益率3.3%

軽費老人ホームのうち、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けている特定施設の収益率は3・3%で、受けていない一般型はマイナス1・4%だった。

特定施設と一般型の経営状況の違いはかねての傾向で、赤字施設の割合も特定施設は36%だが、一般型は51%で半数を超えた。

利用率は一般型(93%)が特定施設(91%)より若干高いが、定員1人当たりサービス活動収益は特定施設338万円に対し、一般型は171万円で167万円の開きがあった。

特定施設の利用者の8割は介護保険サービスを受けた人で、特定施設全体のサービス活動収益に占める介護保険事業収益の割合は6割を占めている。

人件費率は特定施設59%、一般型40%。従事者1人当たり人件費は特定施設414万円、一般型392万円だった。特定施設では介護職員処遇改善加算(加算1.の取得率94%)があることが影響しているとされる。

分析は特定施設287カ所、一般型592カ所が対象。

特養ホーム、従来型は4割赤字

特別養護老人ホームの赤字の割合は従来型が4割、ユニット型が3割。22年度よりも赤字割合は減ったが、依然として経営が厳しい状況であることが浮き彫りになった。

従来型が1888拠点、ユニット型が3568拠点を対象に実施した。定員は従来型が70人(利用率93%)、ユニット型が59人(同93%)。要介護度は従来型が3・98、ユニット型が3・9だった。1拠点当たりの介護職員数は従来型が30人、ユニット型が32人。

赤字の割合は従来型が42%と前年より6ポイント減少。ユニット型は前年より3ポイント減の31%だった。

本業の活動によるサービス活動増減差額比率は従来型が1・6%と前年度より1・3ポイント上昇。ユニット型は4・9%で、0・8ポイント増えた。従来型の従事者1人当たりのサービス活動収益は707万円、人件費は460万円。人件費の割合は65%だった。

一方、ユニット型の従事者1人当たりのサービス活動収益は703万円、人件費は440万円。人件費の割合は63%となっている。

給食費や水道光熱費などの経費率については、従来型が29%、ユニット型が26%。減価償却率費は、従来型が4・4%、ユニット型が6・8%だった。

訪問介護、半数が赤字

訪問介護事業所の赤字の割合は約半数に上った。1896事業所を調査した。赤字事業所の割合は45・5%で、前年より2・7ポイント増加した。本業の活動から得られたサービス活動増減差額比率は5・9%で、0・1ポイント増えた。

従事者1人当たりのサービス活動収益は506万円で、人件費は377万円だった。

このほか、費用の内訳をみると、人件費の割合は74・4%、家賃や給食費も含めた経費が16・4%、減価償却費が1・3%だった。

なお、年間営業日数は346・1日。1カ月当たりの利用人数は要介護が45人、要支援が18・6人で、訪問回数は846・5回に上った。

小多機、4割が赤字

小規模多機能型居宅介護の赤字事業所の割合は40・4%と前年度と同じだった。

本業の活動から得られたサービス活動増減差額比率は4・1%で、0・2ポイント減少。従事者1人当たりのサービス活動収益は542万円で、人件費は393万円。人件費の割合は72・5%、給食費などの経費は19・2%、減価償却費が3・7%。定員数は26・8人で、宿泊が4・3人、通いが10・4人、訪問が9人。平均要介護度は2・12で、看取りの整備率は24・9%だった。

調査は1064施設が対象。