米の共同購入で価格低減 沖縄の社会福祉連携推進法人いーまーる
2025年06月10日 福祉新聞編集部
米の価格高騰が福祉施設の経営を圧迫する中、輸送費などがかさみ他県と比べて米の価格が高い那覇市の社会福祉連携推進法人いーまーる(代表理事=中真靖社会福祉法人麗峰会理事長)は、米を共同購入することで価格低減を図っている。
総務省が公表する4月の小売物価統計調査によると、同市の米価格(コシヒカリ以外)は5キロ当たり5189円で、全国で岡山市に次ぐ2番目の高値となっている。
同市、沖縄市、伊江村(伊江島)で特別養護老人ホームやデイサービスなど10施設を運営する麗峰会の米の年間消費量は約6トン。購入するブレンド米5キロ当たりの2023年度平均単価は1990円だったが、24年4~10月では2450円まで上昇。24年度の米購入費は概算で320万円を超え、前年度から少なくとも60万円以上増えたという。
沖縄本土の施設はこれまで通りの献立や食材の使用を続けるが、輸送費がかさむ伊江島の施設は銘柄の変更や米に麦を混ぜるなどの対応を余儀なくされている。食費増加分の価格転嫁は実施していないが、法人の自助努力だけでは限界がある。
いーまーるが発足した昨年11月、価格の値下げにつなげようと米の共同購入に踏み切った。卸業者に共同で見積もりを取って価格交渉。その結果を踏まえ社員法人ごとに契約する流れだ。
5キロ当たり価格で最大300円の値下げにつながった社員法人もあるなど効果を実感している。麗峰会が購入するブレンド米の5キロ当たり価格は5月で3810円となった。
調味料や野菜、肉についても共同で見積もりを取り、この結果から各施設が取り引きしている卸業者と交渉したり、必要に応じて業者を変更したりするなどの対応を行っている。
いーまーる理事の磯健太麗峰会事務局長は「リネンや介護用品の共同購入も視野に、経費削減につながる取り組みを進めたい。ただ、連携推進法人による対応でも限界があり、根本解決にはならない。物価上昇に応じて報酬をスライドさせる仕組みや、食費の基準費用額の引き上げの早期実施が必要だ」と話した。
社会福祉連携推進法人いーまーる 昨年11月に沖縄県から認定された県内第1号の社会福祉連携推進法人。社員は社会福祉法人麗峰会(那覇市、介護)▽光和会(金武町、介護、保育)▽一心福祉会(大宜味村、障害、介護)▽学校法人大庭学園(那覇市、福祉職の養成校、保育)▽有限会社ケアセンターきらめき(読谷村、障害、介護)――の5法人。総事業所数は50カ所、総職員数はおよそ800人。