福祉施設職員88万人加入の退職金手当制度を抜本見直し 準備金残高大幅減で〈厚労省〉
2026年05月05日 福祉新聞編集部
厚生労働省は4月23日、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方に関する検討会の初会合を開いた。全国の社会福祉法人の8割が加盟する退職手当制度の支払準備金残高が大幅に減少していることから、財政運営の枠組みなどを抜本的に見直す。今後、関係者からヒアリングし、今秋にも結論を出す。
会合の冒頭、厚労省社会・援護局の鹿沼均局長は、60年以上前にできた退職手当制度は福祉人材の確保に大きな役割を果たしてきたと強調。ただ、退職者の増加などで運営上の課題が顕在化しているとして「大切な制度だからこそ、長期的に安定した制度となるよう抜本的に見直したい」と述べた。
福祉医療機構が運営している退職手当制度は、福祉施設などを経営する社会福祉法人が対象で、契約は任意。毎年度、職員ごとに掛け金を積み立てる方式ではなく、契約者が納付する掛け金で同じ年度に必要な退職手当を賄う賦課方式となっている。
2025年4月時点で全国の社会福祉法人の8割に当たる1万6678法人が契約。加入する職員は約88万人にも上る。
掛け金の職員負担はなく、制度創設時は公立の福祉施設職員との官民格差を埋めるため、法人、国、都道府県が3分の1ずつ負担していた。しかし、介護分野は06年から、障害分野は16年から、公費助成を廃止。保育所などは公費助成が続いている。
掛け金はこの3年、毎年数千円程度上がっており、26年度は介護・障害分野だと職員1人当たり一律年14万8500円、保育所などが同4万9500円となっている。
それでも掛け金の引き上げを抑えるための支払準備金が今後不足する懸念がある。21年度に505億円あったが、24年度には294億円まで急減した。
理由は支給する退職手当の増加だ。介護保険が創設された2000年前後に、大量に加入した職員らが退職する時期を迎えたためだ。
また、待遇改善も進んだことから、24年度の平均年齢が44・2歳、在籍月数が89カ月といずれも過去最高となった。さらに23年度以降、加入者数は横ばいが続く。
会合で構成員からは「手厚い退職手当制度は人材確保でアピールポイントだった」という声が出る一方、「掛け金の急激な引き上げは現場としては厳しい」「ただ掛け金を上げるだけではなく、公的な資金の導入も考える必要があるのではないか」という意見も出た。
今後、検討会は構成員や有識者からヒアリングなどを実施する。厚労省社会・援護局福祉基盤課は「将来も安定的に運用されるよう、法人経営にも配慮しながら丁寧に議論したい」と話している。

