五つの時代、駆け抜け 日本児童育成園が130周年式典(岐阜)
2025年06月03日 福祉新聞編集部
岐阜県内で児童養護施設や乳児院などを運営する社会福祉法人日本児童育成園(長縄良樹理事長)は、5月20日に岐阜市の文化センターで、創立130周年記念式典を開催し、150人が参加した。法人の歴史を紹介する映像が流され、参加者は明治から令和まで五つの時代を駆け抜けた先駆者たちの活動を振り返った。
同法人は1895年、キリスト教の布教で岐阜に滞在した五十嵐喜廣氏が、大火事で孤児となったこどもたちを受け入れたのが始まりだ。隣人愛の実践を軸に、日本の児童福祉の黎明期から活動。勝海舟や伊藤博文、渋沢栄一といった政財界の面々からも支援を受け、何度も資金難を乗り越えたという。
一方、全国各地で災害が起きれば支援に出向き、現地で新たな孤児院を開設した。そうして広がった支部は北海道、山形、米国、樺太など国内外で13カ所に上った。
そんな歴史も踏まえながら、長縄理事長は法人に関わる人たちへの感謝を述べ「今後も地域のこどもやお母さんたちと一緒に幸せな社会をつくりたい」と話した。
現在、同法人は児童養護施設や乳児院、自立援助ホームのほか、児童家庭支援センターや里親支援センターを運営するなど、地域の多機能化を進めている。
長縄理事長は老朽化した施設の建て替えに伴い、さまざま機能を一つの建物に集約する「総合支援センター」に向けた構想があることを明らかにし、今後も協力を求めた。
式典には、野田聖子元こども政策担当大臣が出席し、同法人と出会ったからこそ、こども家庭庁をつくることができたと強調。「創立140周年の時には、この国のどこでもこどもたちが同じく等しく幸せに、誰か大人がかまってくれる時代をつくりたい」と語った。