【新機軸】語り合える場に 児童発達支援センター「ひまわり園」がイベント再開

2024年0117 福祉新聞編集部
「うちの子は座っていられません」と保護者が心配した子も腰をかけ、元気に合奏。客席では家族が撮影=三愛荘提供

そろそろコロナが明けるといいな――。感染を恐れて2019年を最後に参観自粛していたクリスマス会を、群馬県渋川市の社会福祉法人三愛荘(町田久理事長)の児童発達支援センター「ひまわり園」(定員20人)が先月16日、父母ら同伴で4年ぶりに再開した。登坂和代所長(59)は「保護者同士がフランクに悩みを語り合える雰囲気をつくっていきたい」と笑顔で語る。

 

園には知的障害や発達障害などのある2~6歳の未就学児20人が通う。クリスマス会は群馬県の「社会経済活動再開に向けたガイドライン」(20年5月策定、5類感染症移行に伴い23年5月廃止)の4段階ある警戒基準に従い、20年と22年は中止(いずれも会の様子をDVDで家庭配布)▽21年実施(ただし児童1人に保護者1人の制限)と変えてきた。今回、流行が安定したとみて無制限のリアルな会へ切り替えた。

 

この日、11月から練習してきた楽器演奏(全児童)やエリック・カールの絵本「はらぺこあおむし」を題材にした〝オペレッタ風寸劇〟(年長・年中組)などを披露。50人ほどの保護者、家族らはステージを見つめながらカメラを向け、母親の一人は「家で静かにしているのが難しいのに舞台ではじっとしていた。成長したようだ」と療育の効果に目を細めていた。

 

センターは渋川市、吉岡町、榛東しんとう村の3市町村をカバーする中核的な療育施設だ。8年前、市の指定管理から法人へ運営移譲。保護者の依頼を受け、保育所などへの保育所等訪問支援事業を実施している。

 

登坂所長は「センターでは一人ひとりアセスメントした上で個別支援計画を立て、それに基づきトイレトレーニングや適切なコミュニケーションの方法などを支援しているのが特徴。近年は幼保と併用利用する子も増えている」という。

 

センターとは別に、3市町村で活動する社会福祉法人、医療法人、NPOや民間の福祉事業所などでNPO法人渋川広域障害保健福祉事業者協議会(理事長=眞下宗司・社会福祉法人「誠光荘」施設長)を組織。活動の一つである「障害福祉なんでも相談室」のほか、新たに20年7月から児童精神科医らが応対する「子ども発達相談室」を設けた。児童(未就学児~小学生)に関する相談件数は20年度1163件、21年度2232件、22年度2519件、23年度12月現在2080件と年々増えている。

 

協議会の副理事長でもある三愛荘の阿部健二常務理事(68)は「相談室に15人、子ども発達相談室には3人のスタッフがおり、三愛荘から2人出向しているが、パンク状態。利用相談を各エリアの社会福祉法人へ割り振っている。近年は家族の問題が目立ち、自立支援協議会へつなぐなど多職種連携で対処している」と話している。

 

三愛荘 肺結核で苦しんだ榛東村生まれの高橋薫女史(1915~66)が榛名山麓に設立した「財団法人群馬アフターケア協会」の社会復帰施設が始まり。61年、精神薄弱者援護施設から社会福祉法人がスタートした。高橋女史のキリスト教信仰の博愛精神「天を愛し、地を愛し、人を愛する」を合言葉に現在、障害者支援など7施設・事業所を運営し、老朽化のため順次建て替えている。利用者は障害のある約200人、職員は約150人。