施設整備予算足りない 社会的養護団体が自民党こども本部で訴え

2024年0528 福祉新聞編集部
あいさつする後藤本部長(右)と小倉將信事務局長

自民党は20日、「こども・若者」輝く未来創造本部(後藤茂之本部長)を開き、骨太の方針策定に向けて社会的養護の関係団体からヒアリングした。平田ルリ子・全国乳児福祉協議会長らが出席し、社会的養護を必要とするこどもを支えるための施設を整備する予算が不足している現状などを訴えた。

開会あいさつで、後藤本部長は政府がまとめたこども未来戦略について触れながら「少子化対策やこども若者の問題について、幅広く議論を進め、次のステージへ進めたい」と話した。

会合には桑原教修・全国児童養護施設協議会長、荒井惠一・全国母子生活支援施設協議会長も出席。3団体で要望書を出した。

要望書は、児童虐待への対応は年々増えているものの、施設などに措置されるこどもの数は変わらないことから、必要な支援につながっていないこどもが潜在的に多いと指摘。また施設では障害やトラウマなどの課題も深刻化しているとして、平田会長は「社会的養護を必要とするこどもに、十分に対応できる質と量を確保しているとは言い難い」と述べた。実際、施設の小規模化や地域分散化に向けた整備交付金は第1次の段階で大半が使用され、各地で施設整備が止まっている状況だという。

このほか、施設の人員配置や措置費などに関する検討会を立ち上げるよう、こども家庭庁に働き掛けることも求めている。

一方、全国里親会の河内美舟会長は「全国の児童相談所には温度差がある。安定した担当者を配置してほしい」と要望。全国児童発達支援協議会の北川聡子会長は、障害児支援の専門性確立に向けた研修制度の創設を求めた。

社会的養護の経験者として出席したブローハン聡さんは、こどもや若者が安心して話せる場づくりの大切さを訴えた。