こども若者シェルター創設へ 社会的養護に新たな選択肢

2024年0214 福祉新聞編集部

こども家庭庁は来年度、家庭に居場所がないこどもや若者が宿泊できる「こども若者シェルター」を創設する。補助額は最大で4067万円。児童養護施設や一時保護施設への入所を望まないこどもも対象とするなど、新たな選択肢をつくる。また、20代の若者など社会的養護の枠組みでは対応が難しいケースも支援する。同庁は新年度予算が成立後、実施要綱を自治体に通知する予定だ。

 

同庁が新たに立ち上げる「こども若者シェルター・相談支援事業」の対象は、親の虐待などさまざまな理由で家庭に居場所がない10~20代。

 

18歳未満のこどもが児童養護施設や一時保護施設への入所を望まないなど、社会的養護の枠組みで対応が難しい場合の新たな受け皿となる。また、こども自身が利用を申し出て入所するケースも考えられるという。

 

家庭で居場所のない20代が一時的に避難できる場所とすることも想定しており、社会的養護の枠を超えた支援という側面もある。その際、社会的養護の経験がなくても入所できる。

 

実施主体は都道府県や児童相談所を設置する市などが担う。社会福祉法人やNPO法人に運営を委託することが可能で、補助額は1カ所当たり1758万円となる。

 

相談支援や心理カウンセリング、就労支援、弁護士によるサポートなどを行う場合は加算が付き、最大で4067万円。補助率は国が2分の1、都道府県などは2分の1となる。

 

同庁は現在、法人が自立援助ホームのような一軒家や、アパートを借り上げる仕組みを検討している。入所期間は数日から2カ月程度を想定。利用料については今後詰める。

 

職員配置については加算などにもよるが、1カ所当たり4人程度となる見込み。資格要件なども検討中だ。

 

同庁がこうしたシェルター事業を創設する背景には、東京・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる場所などに、居場所のないこどもや若者が集まり、犯罪に巻き込まれる事案が社会問題化していることがある。小倉將信・前こども政策担当大臣も昨年7月にトー横を視察し、こどもが安心して過ごせる場所の必要性を指摘していた。

 

同事業の予算には約2億円を計上。同庁支援局虐待防止対策課は「現行では法的な位置付けのない予算事業だが、既存の社会的養護からこぼれ落ちる若者も支援する新たな仕組みになる」と話す。都市部の自治体を中心に問い合わせがきているという。

全国ネットからは評価の声

こども家庭庁は来年度から「こども若者シェルター」の創設を検討している。しかし実際には、社会福祉法人やNPO法人などが運営するこどもや若者向けのシェルターが存在する。

 

全国で初めて誕生したのは2004年。社会福祉法人カリヨン子どもセンターが都内に開設し、その後全国に広がった。

 

同法人が事務局を務める子どもシェルター全国ネットワーク会議(鵜野一郎代表)には25法人が加盟している。ただ、非加盟のシェルターも含めると全国にどれだけ存在するのかは分からないのが現状だという。

 

運営の財源は、児童自立生活援助事業の活用や、児童相談所による一時保護の委託費など自治体によってさまざま。寄付だけで運営する法人もある。

 

同会議はこども家庭庁が創設するシェルターについて「こどもや若者が社会をサバイブする選択肢が増える」と評価。ただ「シェルターでの支援は非常に難しく、職員も定着せず撤退するケースも多い。事業継続に責任を持つ団体が担ってほしい」と要望する。

 

シェルター運営では、携帯電話の所持を自治体が認めるかどうかが最大の論点だという。「外部と連絡できればシェルターで新たなトラブルが起きかねない。しかし持ち込めなければこども若者は入らない。自由と安全の線引きが難しい」と話す。