大会で体制強化へ意気込み 多機能化の働き掛けも〈自立援助ホーム協議会〉

2023年1030 福祉新聞編集部
串間会長

全国自立援助ホーム協議会(串間範一会長)の第28回大会が10月19、20日、札幌市内で開かれた。大会で串間会長は2024年4月施行の改正児童福祉法に向けた課題などを示し、協議会の組織体制を強化する考えを示した。

 

自立援助ホームは、虐待などの理由で家庭を離れた15歳以上のこどもが暮らす施設。約1600人のこどもが入居している。全国には283カ所あり、5年前の約2倍と急増。運営はNPO法人が5割、社会福祉法人が3割、株式会社などが2割を占める。

 

創設当初は高校に行かずに働くこどもを受け入れるケースが多かったが、今では高校生や大学生が半数を占める。一方、精神科に通院するのが3割に上るなどケアニーズの高いこどもも増えている。

 

こうした自立援助ホームは改正児童福祉法で、大きな変革が迫られている。

 

自立援助ホームを位置付ける児童自立生活援助事業はこれまで22歳までが上限だった。ところが、今後は都道府県知事などが認めれば上限を撤廃。同時に、就労や自立に向けた相談など多様な支援が求められる。

 

大会の開会あいさつで串間会長は「自立援助ホームには多機能化や高機能化という大きな課題が課せられている」と強調。「協議会として新たな時代を迎えるにあたり、組織改変を行いたい」と決意を述べた。

 

大会後に取材に応じた串間会長は、既存の「調査研究」「制度政策」「研修」「広報」の4委員会について、ブロックごとに委員を参加させるなど体制強化を行う考えを明らかにした。

 

多機能化についても今後会員に積極的に働き掛ける。全国の児童養護施設が積極的に児童自立生活援助事業を活用する可能性があることから、串間会長は「ほかの施設との連携を進め、これまで以上に存在感を示す必要がある」と危機感を隠さない。

 

実際、宮崎県で自立援助ホームを運営する串間会長は、来年度から施設出身者を対象に交流の場を提供する「社会的養護自立支援拠点事業」を担う予定だという。