施設の積極的活用を 3団が文書提出〈こども家庭庁 社会的養育・家庭支援部会〉

2023年0926 福祉新聞編集部

こども家庭庁は12日、こども家庭審議会社会的養育・家庭支援部会(部会長=山縣文治・関西大教授)を開催した。都道府県社会的養育推進計画の次期策定要領の見直しに向けた論点を提示。評価指標に施設や里親などの数を盛り込む方針を示した。会合では、全国児童養護施設協議会など3団体が連名で、現行の推進計画は現実的ではない数値目標を設定していると指摘した上で、施設の積極的な活用を求める文書を出した。

 

推進計画は2020~24年度と、25~29年度の2期制。現行の策定要領は「体制整備の考え方」や「施設の小規模化」「里親委託推進」など11項目を記載するよう規定している。

 

施設に関しては機能転換に向けた計画を策定するよう要請。里親については7年以内に乳幼児の委託率を75%以上にするという国の目標を念頭に、都道府県に対し数値目標や達成期限を設定するよう求めていた。

 

今回、こども家庭庁が示した方針は、計画に記載する項目について「妊産婦の支援」「障害児入所施設における支援」を追加し、計13項目に増やした。

 

また施設の小規模化に関する指標として、施設や一時保護専用施設、児童家庭支援センター、里親支援センターなどの数を掲げた。

 

里親についてはこれまでと同様に委託率を盛り込む一方、委託解除数の把握や要因分析を求めた。このほか児童相談所からの在宅指導措置委託件数も指標に盛り込む。

 

公的機関に課題

 

会合では、則武直美・全養協副会長が全国乳児福祉協議会や全国母子生活支援施設協議会の3団体でまとめた文書を提出した。文書は現行の推進計画が現実的ではない数値目標を設定していることから、公的機関の対応に課題があると指摘。具体的には、適切ではないアセスメントにより里親を転々とする状況や、措置されずに乳児院へ一時保護を繰り返している現状を挙げた。その上で施設は、一時保護やショートステイ、里親支援など多機能化を進めてきたと強調。市町村との連携のもと、積極的に活用できる推進計画にするよう求めている。則武副会長は「最善の利益を保障する推進計画であることが重要。児相のアセスメント機能も上げる必要がある」と語った。

 

このほか、橋本達昌・全国児童家庭支援センター協議会長は、在宅指導措置の件数が盛り込まれたことを評価し「予算のない自治体を念頭に、社会的養護施設が児相の委託で支援の必要な家庭を在宅で包括的に支援することになる」と話した。