富山のニラ、出荷本格化 障害者が耕作放棄地で生産〈秀愛会・富山市〉
2025年07月28日 福祉新聞編集部
富山市の中山間地域にある就労支援事業所ハーベスト(社会福祉法人秀愛会、塚原久永理事長)では、障害者が耕作放棄地を活用して「アルギットにら」を生産している。一般的なニラより緑が濃く、葉が肉厚で甘みがある。昨春まいた種が成長し、収穫、出荷作業が本格化している。
アルギットはノルウェー沿岸のミネラル豊富な海藻のことで、飼料として活用する。富山県ではアルギット米も知られている。
就労継続支援A型事業を行うハーベストは、開所した2014年から耕作放棄地で野菜や花か卉きの生産に取り組んできたが、競合者が多く、大量の売れ残りが出ていた。その状況を打開するため、県推奨野菜のアルギットにらに着目した。生産が盛んな同県砺波市の農家から指導を受けた。
現在は40アールの畑で生産している。春に専用パレットに約6万粒の種をまき、ビニールハウスで2~3カ月育苗。畑でアルギット入り飼料と土を混ぜて畝立てし、苗を植える。水まき、除草、追肥などを行い、翌年の初夏から秋まで収穫できる。年間出荷量は約9000キログラムで、富山卸売市場に出荷している。障害者はほぼすべての作業に携わり、機械を取り入れて効率化も図っている。
特製冷凍餃子も好評
出荷できない規格外のアルギットにらを使って、法人内で冷凍餃子を製造、販売している。小ぶりで皮が薄く、ネタの味を楽しめる。人気は特製ソースで味付けた特製餃子(9個入り450円)。チーズ、シソなど5種類あり、多い時で月に約1万2000個売れる。
ハーベストを利用する障害者は18~70歳の29人。シイタケ栽培(施設外就労)、県有地の草取りなどの作業も行っている。平均工賃は時給1000円。今後、工賃を上げるため、課題は販路の開拓だ。
坂田俊久障害者就労支援事業部長は「引き続き耕作放棄地問題に取り組みつつ、障害特性に合った作業を提供し、自立するための基礎を習得できるよう支援していく」と話している。