誤った認識、偏見残る 厚労省が初のハンセン病意識調査

2024年0416 福祉新聞編集部

厚生労働省はハンセン病に関する全国意識調査を初めて行い、3日に結果を公表した。現在もハンセン病に対する誤った認識や差別、偏見があることが分かり、報告書は「ハンセン病に関する正しい知識が社会に十分に浸透しておらず、深刻な状況」と指摘している。調査は昨年12月にウェブ上で行い、18~99歳の2万916人の回答を集計した。

 

ハンセン病について「名前は聞いたことがある」「病気を知っている」とする回答は計9割。病気について正しい認識を持っているかを調べると「遺伝しない」ことは6割超が認識していたが、「早めに治療すれば後遺症もなく治る病気」「感染しても発症することはまれ」は5割を下回り、約4割は「分からない」と答えた。

 

ハンセン病の元患者や家族に対する抵抗感を聞くと「近所に住む」「同じ職場で働く」「同じ医療機関・福祉施設を利用する」ことに抵抗を感じないとする回答は約6割を占めたものの、「身体に触れる」「同じ浴場を利用する」「元患者の家族と自分の家族が結婚する」ことには抵抗を感じるとする回答が2割あった。また、「ハンセン病患者を療養所に強制隔離したことは治療法が確立された後であってもやむを得なかった」という誤りを支持する傾向の回答も1割あった。

 

元患者や家族が受けた被害について認知不足であることや、国によるハンセン病に関する人権教育や啓発活動が国民に十分に届いていないことも明らかになった。

 

ハンセン病=らい菌による感染症。皮膚が変化したり、知覚がまひしたりする。現代の日本で発症者はほとんどおらず薬で治せる。感染力も弱く遺伝しない。しかし、かつて不治の病という誤った認識により、療養所への強制隔離政策がとられ、患者や家族への差別、偏見が助長された。国はハンセン病元患者に謝罪し、賠償金の支給や名誉回復に取り組んでいる。