こどもの自殺予防 学習端末でSOS案内 民間団体が開発

2024年0730 福祉新聞編集部

NPO法人OVA(伊藤次郎理事長、東京)はこのほど、こどもの自殺予防のための「SOSフィルター」を開発した。学校がこどもに配る学習端末にインストールしておくもので、こどもが「消えたい」「家がしんどい」といった自殺関連用語を検索すると、それに合った相談窓口の案内画面が開く。

検索したこどもを特定したり、検索結果を学校に通知したりする設計はあえて行わず、こどもが安心して「助けて」と言えるようにし、相談するときのコツやセルフケアの方法を伝える。使用料は無料で、一般のパソコンで使うこともできる。

伊藤理事長は17日、文部科学省で会見し、全国の教育委員会に文書で周知し、オンライン説明会も行うことを表明。「死にたいと思う気持ちを否定したり問題行動と捉えたりするのではなく、生きるための支援をするチャンスと捉えてほしい」と語った。

文科省は2019年12月、23年度までに小中学生が1人1台の学習端末を持つことを目標に掲げた。コロナ禍でのこどもの自殺増を踏まえ、23年7月にはこの端末を使ってSOSを早期に把握するよう都道府県教育委員会に通達した。

しかし、伊藤理事長はこの端末が有効に活用されていないとみて独自にツールを開発した。厚生労働省の集計によると、小中高校生の年間自殺者数は20年以降400人を超え、23年は513人と高止まりしている。