生活保護業務をDX化 効率化で改善図る〈奈良市〉
2025年06月12日 福祉新聞編集部
奈良市は5月26日、生活保護業務についてDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を図ったと発表した。2021年度から24年度にかけて、生活保護の申請▽調査▽支援▽システム処理▽情報取得――など、あらゆる局面でデジタル技術の活用や業務見直しを実施。その結果、受給者訪問率や就労支援件数、時間外勤務などの分野で改善がみられたという。
市が最初に取り組んだのは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入。生活保護費の算定や支給処理に関するデータ入力など、ケースワーカーの事務作業を一部自動処理化したことで、年間約697時間の事務処理時間を削減。ヒューマンエラーの削減にもつながった。
生活保護受給者が窓口に行かなくても自宅から収入申告ができるようオンライン手続き可能なシステムも導入。これにより利便性が格段に向上したという。
最後に、資産調査のオンライン化とAI(人工知能)支援の導入。資産調査については、電子照会システムを導入することで、金融機関との直接のやり取りがなくなり、従来約2週間要していた作業が、最短3日程度で可能になった。
AI支援については、生活保護業務に関する法令、規則、通知などの検索が容易になり、ケースワーク事務の効率化を実現。経験の浅い職員が、ベテラン職員に依存することなく職務を遂行できるようになった。
これらの成果により、24年度は前年度比で受給者訪問率が約22.7%上昇、就労支援件数が約32.2%上がり、時間外勤務の約4.9%を削減することができた。同市は、今後も業務効率化を図っていく。