こどもの自殺対策強化 改正法成立、理念を追加

2025年0617 福祉新聞編集部

こどもの自殺対策強化を柱とした自殺対策基本法の改正案が5日、衆議院本会議で可決、成立した。2024年の小中高生の自殺が過去最多の529人となったことを重くみて、こどもの自殺対策に社会全体で取り組むことを基本理念に加えた。施行は一部を除いて公布日から6カ月以内となる。

未遂者支援で協議会

改正案は議員立法として4月に参議院に提出され可決していた。自殺の発生を回避するための体制整備や自殺未遂者への支援施策のうち、こどもに関するものについては、自治体が学校、児童相談所、病院、警察といった関係機関で構成する協議会を設置できるよう規定した。

協議会はこどもの自殺防止について情報交換したり、必要な支援措置を話し合ったりする。今回の改正の目玉である「自殺未遂者への継続支援」のカギを握るもので、児童福祉法に基づく「要保護児童対策地域協議会」に近いイメージという。

学校には努力義務

改正案はこども家庭庁の事務にこどもの自殺対策を加えたほか、学校の責務としてこどもの自殺防止に取り組むよう努めることを明記。心の健康保持のための健康診断、保健指導、精神保健の知識向上に取り組むよう学校に求めた。

教員の負担が重くなることへの懸念に対し、4日の衆院厚生労働委員会で法案提出者の柘植芳文参院厚労委員長は「学校全体が一つのチームとなり、取り組みがさらに進められる」と述べた。

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