福祉で花を咲かせよう 障害者アート発信〈アトリエ福花・東京〉
2025年09月18日 福祉新聞編集部
就労継続支援B型事業所「アトリエ福花」(東京都渋谷区)が、アート作品を通じた発信力を高めている。昨年は地元の民間団体主催のファッションショーに参画したり、新宿高島屋で展示販売したりとイベント尽くし。原動力になったのは、小麦粉袋に絵を描いて作ったバッグ、財布、ブックカバーなど「コムギコシリーズ」だ。
所長の石塚浩子さん(63)は2016年の開所当時、自身の専門分野であるアートを通じて福祉の世界に花を咲かせようと「アトリエ福花」と命名。アートを内包した福祉が共生社会に寄与すると実感した今は、「福祉で花を咲かせよう」に変わったという。
アトリエ福花は、京王線笹塚駅から徒歩5分のビルの2階にある。1階は同じ法人が運営する就労継続支援A型事業所があり、マドレーヌなど洋菓子を製造・販売している。
小麦粉を使うため、空袋も大量に発生。それを解体して絵を描いてミシンで縫う、という過程のどこかに知的障害や発達障害のある人が参加できる。
完成した「コムギコシリーズ」の作品は、その分業ぶりや外部とのコラボレーションが一つの物語となってイベント会場に登場。普段は障害福祉と縁のない人にも話題になりやすい。実用性もあるため、記念品として配っても捨てられない。
今月13、14日に札幌市内で開かれたLGBTQ(性的少数者)のイベント「さっぽろレインボープライド2025」では、手作りのブローチを出品した。
「作業所の製品というよりは、生きづらさを抱えた人とつながれるコミュニケーションツール」(石塚さん)としてアトリエ福花のアート作品が北の大地にデビューした。