障害者がパン、菓子作り競う チャレンジドカップが6年ぶりに開催
2025年09月15日 福祉新聞編集部
コロナ禍以後6年ぶりとなる障害者のパン、菓子作りコンテスト「第10回チャレンジドカップ」が8月23日、開かれた。予選を通過した15事業所(パン部門8、菓子部門7)が東京都世田谷区の日本菓子専門学校に集まり、熱心に作業に取り組んだ。
午前9時45分に製造開始。「がんばるぞ」という掛け声も聞かれ、気合十分。どの事業所も障害者の特性に合った作業ができるよう、計量時にグラム数が大きく書かれた紙を横に置いたり、生地を伸ばす際に下に目安となる大きさの紙を敷いたり工夫していた。参加した事業所は「利用者主体の作業になるようにしている」と話していた。
器用にパン生地にあんこを詰めたり、カスタードクリームを丁寧に仕上げたりする障害者もおり、その技術は審査員をうならせた。コンテストのために数週間前から練習するなど、各事業所が力を入れていた。
一つの作業が済むと「終わりました」と事業所のメンバーに知らせ、発酵の待ち時間に道具を洗うなど、作業は効率的で清潔感もあった。パン、菓子が焼き上がると甘い匂いが広がった。
約4時間半で製造終了。どのパン、菓子も審査員が「優劣を付けるのが難しい」と悩むほどの出来だった。金賞に、パン部門では「アーモンド香るフルーツたっぷり結いロール」(社会福祉法人希望会ばくtoPan、茨城県)、菓子部門では「米粉シフォンケーキ」(社会福祉法人江刺寿生会ワークセンターわかくさRicoa、岩手県)が選ばれた。
コンテストはパン屋などで構成するNPO法人NGBCが、障害者の技術向上を応援しようと2003年に開始。発起人メンバーの澤畠光弘さんは「年々技術レベルが上がっている。地産地消にこだわった商品もある」と感心する。障害者もコンテストに向けて新たに作業を覚えたり、生活面の意識が変わったり、良い励みになっていた。