視覚障害者の駅転落防止へ 国交省が歩行訓練プログラム作成
2025年05月17日 福祉新聞編集部
国土交通省の検討会は5月7日、「鉄道施設における視覚障害者の基本的な歩行訓練プログラム」の内容を固めた。プログラムは視覚障害者が駅ホームから転落する危険を減らすために初めて作成される。基本訓練と乗降訓練があり、1時間程度で実施できる。6月までに国交省のウェブサイトに掲載される。
視覚障害者の駅ホーム転落事故は2023年度に47件あった。原因の一つに白杖で点状ブロックや車両の確認が適切にできていなかったことがある。そのため、歩行訓練のプログラムを作り、駅ホーム歩行時や車両乗降時での白杖の使い方、視覚障害者誘導用ブロックの役割などを学び、安全に鉄道を利用できるようにする。プログラムがあることで鉄道事業者に歩行訓練の協力を得やすくする。
基本訓練では、駅ホーム歩行時に白杖の先端を常時床面に触れさせながら左右に振り、白杖が落ち込んだときに、すぐに止まる訓練など基本的な歩行方法を3パターン学ぶ。乗降訓練では、ホーム端に近づいた際に正面が車両のドアの場合、連結部分の場合など4パターンを訓練する。
歩行訓練参加者からの要望(改札から乗降まで確認したいなど)に合わせてプログラムを運用することが望ましいとし、鉄道事業者に対し、歩行訓練のため駅施設の使用や、社内研修での歩行訓練の実施など協力を求めている。
検討会の委員でもある三宅隆日本視覚障害者団体連合常務理事は「使い慣れているホームでの転落も多く、プログラムにより新たな気づきが得られれば防ぐことができる。また、鉄道事業者が視覚障害者の動きを理解してくれることで、白杖がドアに挟まったまま発車してしまうことも防止できる」と話し、プログラムが幅広く周知され、歩行訓練が行われることを期待している。