「さかのぼって支給する」 障害年金不支給問題で機構理事長が答弁

2025年0629 福祉新聞編集部
答弁する大竹理事長

障害年金の不支給判定が2024年度に増加した問題で、日本年金機構の大竹和彦理事長は6月17日、本来支給されるべき人が不支給と判定されていた場合、その判定の時にさかのぼって年金を支給すると明言した。同日の参議院厚生労働委員会で、石橋通宏氏(立憲民主)に答えた。

厚生労働省は11日、24年度の判定分から無作為抽出して調査した結果を公表。23年度に比べて不支給となった人の割合が高いことが分かった半面、なぜ増えたかについては明確にならなかった。

同機構センター長の指示で恣意的に増えた疑いもあり、厚労省は24年度のすべての不支給判定について、そのプロセスを点検する方針。石橋氏はその点検結果に対する責任を追及し、大竹理事長がそれに答弁した。

認定基準見直しへ

また、障害年金の認定基準の在り方を当事者が参画して見直すべきという石橋氏の主張に対し、福岡資麿厚労大臣は「認定基準の在り方の見直しも検討していくことになろうかと思う。その際はご指摘の点も踏まえて検討する」と答えた。

現行の認定基準をめぐっては、個人の心身の機能障害に着目した医学モデルに偏りすぎで、障害は社会的な障壁に起因するという社会モデルをさらに取り入れるよう求める声が上がっている。

同日の同委員会でも天畠大輔氏(れいわ新選組)の質問に対し、福岡大臣は「社会モデルの考え方についても、さまざまな意見を伺いながら検討を進めていきたい」と答えた。

不支給問題は今年4月28日の共同通信の報道で明るみに出た。24年度に障害年金を不支給とされた人は、23年度の倍増以上の約3万人に上るとした。

厚労省によると、障害年金の審査件数は年間約40万件。23年度末の障害基礎年金の受給権者は1級が約72万人、2級が約157万人。24年度の不支給分の点検は「数万件に上る」(年金局)という。