障害者雇用、質評価する仕組み導入を 厚労省が関係団体にヒアリング

2025年0316 福祉新聞編集部
9団体にヒアリングした

厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」が2月28日と3月10日に開かれ、計9団体にヒアリングした。民間企業で働く障害者が増える中で課題となっている雇用の質について、客観的な指標で評価する仕組みを導入すべきとする意見が相次いだ。

指標について障害者雇用企業支援協会は、障害者雇用の取り組みが優良な中小事業主を認定する「もにす認定」の評価項目などを援用することを提案。雇用率と雇用の質の両軸で評価することが障害者雇用のさらなる推進につながるとした。

全国障害者雇用事業所協会も、キャリア形成支援や長期継続雇用などを評価することで雇用の質が促進されるとし、取り組みが一定水準であれば雇用率カウントの上乗せなどを行うことも提起した。

全国社会就労センター協議会は、雇用の質はディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現が柱になるとした上で、障害者を直接雇用しているケースと、外部に丸投げしているケースを分けた対応が必要だとした。

また、一部で民間企業の雇用率達成支援が目的とも言われる「障害者雇用代行ビジネス」について複数の団体が言及。就労継続支援A型事業所全国協議会は、留意点を示したガイドラインを定めて指導するよう求めた。

ほかに、障害者手帳を所持していない精神、発達障害者、難病患者や、A型利用者の雇用率制度における扱いなどについてもヒアリングした。日本難病・疾病団体協議会は、難病患者が個人で就業規則の変更や合理的配慮の提供を求めることは困難なことを説明した上で、診断基準が確立している難病の患者は雇用率に算入するよう求めた。A型利用者については、これまで通り雇用率制度の対象とするか、除外するかで意見が割れた。

研究会は9団体の意見を整理し、さらに議論を深めていく。報告書の取りまとめは2025年中を予定している。

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