障害福祉の「電子申請・届出システム」 25年度の導入見送り(厚労省)

2024年1202 福祉新聞編集部

厚生労働省は、障害福祉サービス事業者と自治体間でやりとりする指定申請、報酬請求(加算届け出)、運営指導(実地指導)の文書を電子化して負担を軽減する「電子申請・届出システム」について、予定していた2025年度中の導入を見送る。

10月29日の政府と自治体による「国・地方デジタル共通基盤推進連絡協議会」で、同システム、事業所台帳管理システム、業務管理体制データ管理システムを併せて共通化した方がコストを抑えられるとの指摘を受けたもの。厚労省は今後、共通化の方法やスケジュールなどを示す方針を策定する。

加算届出の標準様式 26年度に使用原則化

厚労省は指定申請、報酬請求、運営指導に関する文書の標準様式を示し、使用を促している。そのうち指定申請、報酬請求については、使用を原則化する法令上の措置を今年度中に行い、1年の準備期間を経て26年4月に施行する予定。その後、共通化する三つのシステムを導入することを想定している。

こうした方針は年明けに開かれる社会保障審議会障害福祉部会で提案する。

障害福祉現場の手続き負担軽減に向けた取り組みは、23年6月に閣議決定された政府の「規制改革実施計画」に基づき、調査研究事業などを通じて進めてきた。

24年度の調査研究事業で実施した自治体調査の速報値(10月9日までの回答101件を集計、回答率78%)では、指定申請の標準様式を使用していない自治体は6~7割強で、加算届け出は6~8割が変更せずに使用していた。使用していない理由は、標準様式の「使いづらさ」より「様式入れ替えが間に合っていない」との回答が多かった。

厚労省は標準様式について、自治体調査で指摘を受けた箇所は必要に応じて見直し、今年度中に修正したものを示す。

調査研究事業ではほかに、12月に事業者を対象に自治体独自のルールについて調査、ヒアリングなども実施する。