厚労省概算要求 1.4%増の34兆円 障害福祉は自然増900億円

2024年0902 福祉新聞編集部

厚生労働省は8月27日、2025年度予算の概算要求を公表した。一般会計総額は24年度当初予算比1・4%(4574億円)増の34兆2763億円。高齢化などによる自然増は3700億円を見込んだ。

自然増の内訳は年金が700億円、医療が1900億円。障害福祉は900億円で伸び幅が大きい。その他(介護を含む)は200億円となり、介護の伸び幅が小さい。

こども家庭庁の予算の自然増400億円を含めると、社会保障費の自然増は4100億円になる。

感染症対策が大幅増

予算増が目立つのは新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた「次なる感染症危機」への対応だ。今年度は87億円だが、25年度は330億円とした。

25年4月に「国立健康危機管理研究機構」を設立することが法律で決まっている。感染症の研究開発、人材育成に充てる予算として198億円を計上した。初代理事長には國土典宏氏(元・国立国際医療研究センター理事長)が就く。

武見敬三大臣肝煎りの「国際保健」の関連では、医療、介護の国際展開に10億円増の70億円を計上した。国際保健の拠点を26年度に稼働させるため、25年度にWHO(世界保健機関)がその準備組織を都内に立ち上げる。

新しい認知症観を普及

今年1月に施行された認知症基本法を踏まえ、認知症関連の予算は14億円増の148億円を計上した。

今後、自治体が同法に基づく推進計画を作ることを支える経費を盛り込んだ。認知症の人やその家族の意見を丁寧に聞き取ることや、「認知症になったら何もできなくなるのではなく、役割を果たし、自分らしく暮らす」といった「新しい認知症観」の普及啓発を、計画作りの過程で促す。例えば、住民や企業向けの勉強会の開催を支える。

認知症の早期診断についても実証プロジェクトに着手する。認知症の疑われる人が無料で検査を受け、診断後に本人とその家族が適切な支援を受けられるようモデル作りを行う。