障害者の地域移行へ調査研究 厚労省、年度内に報告書

2024年0710 福祉新聞編集部

厚生労働省は施設に入所している障害者の地域移行を進めるための調査研究に着手した。重度障害者などに対する専門的支援や看取りなど障害者支援施設の役割も整理する。結果は次の障害報酬改定や障害福祉計画の基本指針見直しの議論などに活用する。

調査研究はPwCコンサルティングに委託して行われ、2日に第1回検討委員会(座長=小澤温筑波大大学院教授)が開かれた。委員は有識者、自治体の6人で、11の障害福祉団体も協力団体として参加し、年度末までに報告書と事例集をまとめる。その後、厚労省は検討会を立ち上げる予定だ。

2月の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の取りまとめで、地域移行の推進に向けた障害者支援施設の在り方を検討するよう指摘されていた。

同日は障害者支援施設の実態を把握するため、全数調査(3月時点で2546施設)とヒアリング調査(約10施設)を行い、施設入所者の調査も検討していることが示された。

施設全数調査の項目については事前に委員、協力団体から受けた意見を整理した案も示された。基本情報(利用者の状況、職員体制など)、利用者の生活環境(日中活動や生活支援の状況など)のほか、医療的ケアを必要とする障害者の受け入れ、強度行動障害者への対応、地域移行支援の支援状況などを聞くことにしている。地域移行した障害者への支援に関する項目も入れた。

委員、協力団体からは改めて追加すべき項目などについて意見が出された。委員の野澤和弘植草学園大副学長は「地域移行が進まず、もどかしさを感じている。これを機に障害者の豊かな地域生活が実現する流れができたら」と発言した。